アルコール・オア・ダイ

酩酊オタクの酔いどれ雑記。基本酔っぱらいの戯れ言

今更ながら、ダークアリスの萩ちゃんが素晴らしすぎた!!!て話

行ってきました。
リーディングシアター「ダークアリス」
6月2日の3回公演中、2回目と3回目…ジュルネとソワレ。(ジュルネという言い方知らなかった。勉強になります)

しつこくネチネチ書いてたら、1か月もたってしまったけれども、いまだにあの公演を思い出して身もだえるので、ねちねち書いてたのをアップします。

台本あるってすごいね。いつでもあの瞬間に帰れるから。
というわけで、お時間ある方はどうぞ。
気持ち悪いくらい萩ちゃん凄い言うてるだけですけども。

***


あのねえ!もう!本当にすばらしかった!!
見終わった後のなんか、うわあああっていう感じが強すぎて、アンケートもろくに書けませんでした。

そもそも、どこから仕掛けられていたんだか、出演者が発表された段階から、ミスリードを誘われていた感じがします。
ラインナップを見たときに、中尾暢樹君、田中俊介君、竹財輝之助君、久保田悠来君と同じ並びで名前があり、女性キャストさん✖若手俳優もしくはニチアサ枠(輝君とか久保田君が若手かどうかは一旦おいておく。あと田中君は若俳ではないか。まあ、便宜上)✖声優さんまたはベテラン俳優さんという組み合わせ。あらすじ読んで勝手に黒ウサギが若俳枠なんだと思ってたのと、こうくれば、だいたい、役どころは同じなのかなーと思うじゃないですか。
で、いざ始まってみたら、確かに若俳枠が黒ウサギだし、これは萩ちゃんもあの、ちょっとゴシックっぽいフリルのドレスシャツを着るのねーとか思っていたの。
つか、みんな思ってなかった??思ってたよね??
で、ちょうどマチネが終わるころに池袋について…ちらりとレポ見たら、んんん??そっちってどういうこと??もしや??となったわけです。そして、とにかく、やや興奮気味なマチネ組の感想を読み込んでいくとどうやらそのよう。これはいったいどういうわけだ??

会場に入ってすぐにパンフレットと台本購入(台本売切れてたね!すごい!)パンフレットめくって気づく、あれ、これ萩ちゃん、黒ウサギじゃない方だ…!黒ウサギ役と誘拐犯役では、バックのキャラクターや写真のフレームの形が違って描かれてるんだもの。私、黒ウサギの耳をはやしたフレームだと思って見返したら違うじゃん、萩ちゃん!
というわけで、始まる前にパンフレットで気づいてしまったのですが、じゃあ、これまで声優さんやベテラン俳優さんがやってた役を、萩ちゃんはどんなアプローチするの?て俄然楽しみになってきました。

開演時間が近づくにつれ、高まる緊張感。なんか、すごく静かだった気がするんだけど、気のせいかな。

ステージのうえは大きなテーブルのような三角形の台が頂点をこちらに向けた形…客席から見ると逆三角の形に置いてあり、各辺に椅子が一つずつ。ステージの上手にパーカッション、下手にキーボード。それだけしかないセット。
やがて、しん、と静まり返った中に静かに表れる、ふたりの音楽家。そして、奏で始められる音楽と、お人形のようなダンサーさんが醸し出す、ファンタジックな雰囲気。
ダンサーの菅原理子さん、とてもかわいくて、手足がすらりと長くてしなやかで、すごくひきつけられました。


語り部がアリスに話しかけながら物語を進めていく手法は、絵本のようでもあり、とても童話チック。
普通の女の子亜梨沙が現れて……ここからが目眩く萩谷慧悟の知られざる魅力のオンパレード。

台本を手に持って、実際演者が台本を「朗読」しながら進むのだけど、でも、ただ座って読むのではなくて、動きがあってお芝居をしながらなので、ちょっと不思議な感じ。

あ。ご覧になっていない方が読んでいるかもしれないので、念のため、あらすじは公式でご確認を。

www.shachu.com

そして、ここからは、物語に沿って萩ちゃんの感想を。

誘拐犯として現れる萩ちゃん。やや低めのあやしい声。フードを深くかぶって表情は見えないのに、声と佇まいだけで怪しくてやばい人な雰囲気出てるし、え、これ萩ちゃんだよね?てなる。
そのあと、フードを取って、亜梨沙の恋人のゆうとして演技するんだけど、これが、もう!何このスーパー彼氏!てくらいのスパダリぷり(スパダリってやすい言葉だな、しかし)優しくて彼女を労わってて、彼女のこと好きで。彼女と結婚することを楽しみにしてて…結婚前に、式場見学とかウエディングドレス選びとか、こんな積極的に行ってくれる彼氏ってホントにいるんですか!これこそファンタジーでは??などと思いながら、萩ちゃんの幸せそうな笑顔とか、彼女を本当に心配している声とか、キュンポイント多過ぎでソワソワします。

しかし、再びフードを深くかぶって、誘拐犯となったときの、じわりじわりと追い詰めていくような、けして強い口調ではないのに、常人ではない雰囲気を醸し出して、こんなに一瞬で別人に…?て度肝を抜かれる。

ワンダーランドに落ちた亜梨沙=アリスが、現れた黒ウサギと会話するシーンでは、萩ちゃんはストーリーテラーとして地の文を読んでいくのだけど、この声が、すごく聞き取りやすくて、ナチュラルに耳に届く。この時、セット正面後方の椅子にずっと座っているのだけど、音楽や効果音、目の前で繰り広げられるお芝居と、タイミングや呼吸を合わせながらだから、すごく集中していたんだと思う。すごく眉を寄せてる瞬間もあって、声の柔らかさとは裏腹な感じだった。

そして、もっと度肝を抜かれたのは、このあと。

黒ウサギにおいていかれた亜梨沙が、最初に出会うこの世界の住人、青虫。セットの台の上に片膝を立てるあぐらみたいに足を組んで座った萩ちゃんが余りに美しい造形だったので見とれていたのに、一声発すると、それは年老いたじいさんの声。喉潰れるのでは、というくらい低くしゃがれた声で、顔!との!ギャップ!ひどい!その声のまま押し問答するんだけど、その演技が凄くて!

なんか、そんな引き出しも持っていたの…とため息交じりでした。

次に現れたのがチェシャ猫!このチェシャ猫がチャーミングで…!美勇人君も感想で上げてたけれど、軽妙洒脱な物腰と口調、萩ちゃんの地の声とも微妙に違う声で、ちょっとトーン高め?で少しコミカルでもあり、一人称が「にゃあ」なのも萌えポイント(萌え?)そして、さっきの青虫では、あまり動きがなかったのだけど、チェシャ猫は表情も、ニヤニヤ笑いで口角がずっと上がってて、でもちょっとバカにした風なところもあって…亜梨沙の前から消えるときに、パントマイムかストップモーションみたいに少しずつ姿勢を変えていって、最後、ニヤって笑うの、はー!いい!すき!て思いながら見てた笑

そのあと、帽子屋のお茶会。帽子屋のキャラは誘拐犯とニアリーな感じにしていたのかな。君は悪だ。というセリフを重ねているし、メタファーとしての存在だし。シニカルでクールで、飄々としてて、でも笑い方が狂ってて。黒ウサギとの会話とアリスとの会話は明らかにトーンを変えていて、それがすごく自然な感じに見えた。あと、お茶会シーンの後半で、アリスに近づきながら、少しかすれた声でアリス、て呼びかけるところが妙にエロくて色っぽかった。あんな色っぽい声出せるなんて知らなかったよ…ドキドキしたさ。

お茶会を抜け出した亜梨沙が出会う庭番トランプ3人。これがキャラ立てしてやってるの、大変なんだろうけど、ちょっと楽しそうだった。やっべーて思ってるのとメンドクサそうなのとガチで焦ってるやつと。これも個人の裁量なのかな…?わかんないけど、座る場所を変えながら、声や口調、座り方や態度も変えていくスイッチ凄い。

そして現れる王様は、顔を見たとたんに、亜梨沙が佑くん!と呼ぶあたり、他のキャラクターはそのキャラクターで、王様は人間の姿をしているという認識なのかな?
王様は、立ち方や所作は威厳たっぷりで、でも声はちょっと、おもちゃっぽいというか、滑稽さがあって、アニメのトランプの女王みたいな喋り方だなと思って、萩ちゃんのことだし、意識したかな?と思わないでもない。 打ち首じゃー!ていうのとか、ちょっとコミカル?に聞こえるというか。そして、顔は佑くんでも全く違う人物だって話し方で分かる。これが大事なとこなのかなー。でも、あの打ち首じゃー!て言いたくなるよね。うん、わかるよ美勇人君。

王様としてふるまったあとは、裁判の証人として呼び出される青虫に。もちろんじいさんの声でアリスのうそつきの罪を告げる。続いてチェシャ猫。調子のよい口調とニヤニヤ笑いのままで、アリスの無知の罪をつげて。青虫とのギャップもそうだけど、こんないたずらっぽいというか人をくったような口調なの、萩ちゃんじゃないけど、萩ちゃんの見た目に結構似合ってるなー、なんて思ってた。そうやって一拍おいてスイッチしていくのを目の前で見るけれど、ほんとに全然違うキャラクターなの、すごいんだよ…いちいちビックリするくらい。
そして帽子屋。王様の前で帽子を脱いでお辞儀をする…ここの語りが、

~美しいお辞儀。あまりにも綺麗な姿勢だったので、その場の人たちは拍手しようかなと思うほどだった

なんだけど、本当に萩ちゃんが優雅にお辞儀をするから、この語りがぴったりはまってて、うっかり拍手しそうになったのよ。

もちろん(?)帽子屋の顔も佑くん。亜梨沙に罪を告げる男たちの顔は黒ウサギ以外はすべて佑くんなのだね。
驚愕のアリスをしり目に、帽子屋は皮肉っぽい冷酷さを感じる口調で、アリスとの面白い面白くないの問答を繰り広げる。そこからの不意に「ところでアリス、まだ頭は痛む?」と聞いた声のトーンにぞくっとした。それまでの狂気の笑いが不意になくなって、静かな佇まいと整った萩ちゃんの顔だちの、冷たさと優しさのあいまった表情がすごく印象的で。その後の、長い長い沈黙のあとの、涙で前が見えない。は何かが震えた。物理的な空気も震えてた気がするほど。

納得のいかない亜梨沙の前に現れる誘拐犯=佑くんの流れが、もう、ものすごくよくて。愛していたのに、と呟くように言うのも、君は悪だ。自分の大切な宝物を傷つけられたというのも、何度も何度も何度もやめてくれと言ったのに、と重ねるときも、君を閉じ込めておきたかったと狂おしい声でいうのも、熱量が凄くて、本当に胸に迫るものがあった。

元の世界に戻った、本物(?)の佑くんが本当に優しくてすてきな彼氏で、彼女を労ってて愛してて、もっと自分を大事にして。っていう声の柔らかさと言ったら…最後のおやすみがもう本当に愛に満ちた声に聞こえて、私は永眠しそうになりました。


萩ちゃんが持っているものって、これまで全然引き出されてなかったのかな、と思ってしまうほど、知らない萩ちゃんがいっぱいいて、ずっと驚いてた気がします。
こんな声も出せる、こんな演技もできる、こんな話し方、こんな表情、佇まい……全部ね。斬月のときとはまた違った驚きというか発見というか感動というか。
これ、映像化されないんだなーと思うと本当に惜しい…

でもさ、これTwitterでもつぶやいたけど、萩谷担てこれまで、ほとんど恋愛的なあれこれに免疫なかったっていうか、萩ちゃんがそういう立ち位置に来たことがなかったから、結構、あれよ。スーパー彼氏として現れた瞬間どぎまぎしたよ!


それにしても、どうして毛利さんは、佑くんの方を萩ちゃんにやらせようと思ったんだろう。ていうのは結構思った。ほかの日に佑くん側をやった声優さんのファンの方とか、これ、すごい難しいけど、さすがだった。と書かれていて、正直、経験値としてはそんなにないわけじゃないですか。でも、ファンが見て驚くくらいやりきっていて、素晴らしくて、どうやってこの可能性を見出してくれたんだろう。って思う。
だから、また、毛利さんの脚本演出の舞台に出てほしいなと思っているところ。

これからどんなお仕事が待っていて、どんな新しい萩ちゃんを見せてくれるんだろうって、それがとてもとても楽しみ。多分、新しいお仕事の度に新たな魅力が顕在化してくんだろうなあ。

でもでも、演技のお仕事もいいけど、そろそろ歌って踊ってドラム叩く萩ちゃんも見たいなああああ。オタクはいつだって贅沢なのだ。

これにて、ダークアリスでの萩ちゃんの感想はおしまい。